京都大学工学部電気電子工学科の生活(1-2回生編)

京大生

私は京都大学工学部電気電子工学科に在籍しています。

今回は電気電子工学科での生活について、色々書いていきます。

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京都大学工学部電気電子工学科

電気電子工学科は通常京大では「電電(でんでん)」と略されて呼ばれます。以後は電電と書きます。

大学入試では工学部として受験をします。学科選択は受験時に第一希望と第二希望を書くことができます。電電は人気的には真ん中くらいだと思います。昔は物理工学科が大体合格最低点が最も高い学科でしたが、最近はAIブームによる情報学科が人気なようです。

電電は1学年130人ほどです。男女比は年によって異なりますが、私の学年は1割ほどでした。

 

私が電電を志望した理由は、高校生の頃ソフトウェア系とハードウェア系の両方に興味があったからです。情報学科と物理工学科の間といえる電電を第一希望に決めました。

実際に入学してみると、ソフトウェアとハードウェアの両方を学べるというのに間違いはありませんでした。電電は非常に幅広い分野を扱います。

電電は大きく分けて3つに分けられます。電子系、電気系、情報系です。

電子系は半導体など光や電子に関係するものを、電気系は回路、制御など電気に関係するものを、情報系では通信や機械学習などを扱っています。

簡単に言ってしまえば、電電は電気に関わる様々なことを扱う学科です。現在の世界は電気を使うもので溢れているため、ほとんどの工学的分野を電電は網羅しています。

そのため、電電の研究室もいろんな分野を扱っています。電電の研究室は大学院では、工学研究科情報学研究科エネルギー科学研究科に分かれます。

また、電電は就職にも非常に強いです。電気系、電子系の人材不足はよく言われています。メーカー系からは引っ張りだこの電電で勉強、研究をしていたら、就活で心配することはないでしょう。

電電のイメージ 〜電電は忙しい?〜

入学して色々なサークルなどを新歓で回り、自分の所属が電電であると伝えると、「大変だね」とか「がんばってね」とか言われます。正直うんざりしてしまいます。なんで上から目線でそんなことを言われなければいけないんだと。

そもそも、大学は勉強、研究のために通うのに、勉強、課題で忙しいことに対してネガティブなイメージを持つことは間違ってるではないか。サボって遊んでる奴が偉いなんてことはないです。

 

愚痴はこの辺りにしておきましょう。

まず、電電は大変と言うイメージが一人歩きしている気がします。実際に忙しいのは確かだと思います。

なぜこのようなことが言われるのか、それは2回生から始まる実験によるものだと思います。

2回生前期は週1回午後の3、4限の2コマ、2回生後期からは3回生の後期まで週1回1から4限の4コマの実験があります。2回生は多くのサークルで幹部を務める必要があり、サークルの忙しい時期の2回生から実験が始まる電電は大変というイメージがつきやすいのだと思います。試験期間以外にも定期的にレポートを作成する必要があるのは、実験のない文系学部からは珍しいのでしょう。

「大変だね」とか言われすぎて麻痺しますが、今になって思うことは、電電は言うほど他の学部学科より顕著に大変ではなかったということです。2回生にしては大変と言うのは分かりますが、3回生以上では電電よりも実験が大変な学部、学科は多いです。工業化学科も実験は大変と聞きますし、建築学科も模型作成は大変そうです。

ただ、文系学部と比べると大変なことは確かですし、理系学部の中でも忙しい部類には入るでしょう。

電電は忙しいということは確かなので、電電の分野への興味がなかったりすると学部生活が嫌で大変なものになってしまうと思います。4年間過ごしてみて、電電に進学する場合は分野への興味や、目標を持っていることが重要だと思います。

電電の学生には、忙しい生活の中でやることはやって、遊ぶことも忘れないくらいの軽い感じで過ごして欲しいです。勉強だけだったり、遊ぶだけの大学生活はもったいないのではないでしょうか。

1回生

一般教養科目

1回生は専門科目は少ないです。1回生の間は一般教養科目、英語、第二外国語の単位を集めていきます。

 

卒業までに人文社会科学(人社)系を16単位取る必要がありましたが、1、2回生の間にこの単位を取るといいでしょう。3回生からは専門科目が増えていくため、忙しくなってきます。英語、第二外国語も早めに単位を揃えないと、3回生以降がより忙しくなります。

自然応用科学系は基本的にクラス指定の講義を取っていきます。線形代数や、微積分は理系大学生としての基礎であり、2回生以降でも使っていくためちゃんと勉強しておくといいです。私は研究室配属した後の研究室の勉強会で線形代数や微積分の知識を使ったり、院試勉強で数学の科目があったりしたため、1、2回生の頃からちゃんと勉強しておけば良かったと思いました。

 

大学1回生は総合大学として様々なことを学ぶ絶好の機会です。単位が取りやすいからという理由ではなく、自分の好きなことや興味のある講義やゼミを取り、広い教養を得られると良いと思います。学年が進むと専門科目も増えていくため、専門以外の分野の講義を取ることが大変になっていきます。

私の場合は地理が好きなので、前期も後期も地理のゼミを取っていました。古い地図と現在の地図を持って大学周辺のフィールドワークしたのが楽しかったのを覚えています。

 

電電の専門科目やクラス指定の科目などでは5限目のものがいくつかあります。サークルによっては4限後から活動を行うところもあるみたいなので、サークル選びでは少しだけ注意が必要です。5限終わりから活動するサークルの方が大多数なのでそこまで心配は無用です。サークル選びをするときは、とりあえず新歓期の5限後にクスノキのところに集まる新歓に行けばいいでしょう。

専門科目

1回生の電電の専門科目は前期の「電気回路基礎論」と後期の「電気電子回路」、「電気電子工学概論」です。「電気電子工学概論」のみが必修ですが、ほぼ全員が全て取っています。

 

「電気回路基礎論」は電気回路の基礎や微分方程式、フェーザについてを学びます。自然群の「自然現象と数学」という科目は「電気回路基礎論」の補助的な科目となり、同時並行に内容が進んでいき、課題が出た記憶があります。大学でこんなに課題が出るとは思ってなかったので、意外でした。基礎なのでしっかりと勉強させたかったのでしょうか。少し過保護な気がします。

 

「電気電子工学概論」は4人くらいのグループに別れて、グループごとに電電の研究室に2ヶ所見学に行きました。私の場合、1ヶ所目は桂の研究室で、研究内容の説明を聞いたり、研究室見学したりしました。2ヶ所目の研究室見学はグループで研究室の研究についてまとめて、ポスター発表する必要があります。2ヶ所目は吉田の研究室で、5回くらい行ってポスター作成をしたりしました。

ポスター発表では40ほどある研究室を各グループが分担して行われます。1回生という早い段階で電電にどんな研究室があるのかを知ることができるのは非常に面白かったです。

将来入ることになる研究室について早い段階で知ることができるので、興味を持った研究室があれば、頭の片隅に入れておくといいでしょう。

 

1回生の専門科目は基礎的な部分が多く、重要です。また、将来的な話として、研究室配属は成績順で希望の研究室に配属されます。そのため、簡単に高得点が取ることのできる1回生の専門科目はちゃんと点数を取ることをお勧めします。3回生の専門科目と比べると格段に高い点数が取りやすいです。

アドバイザー

電電は1回生から研究室配属するまで、電電の教授や准教授がアドバイザーとして学生1人に1人が選ばれます。そのアドバイザーに各学期始めに面談しに行き、履修についての許可を形式上取る必要があります。履修についての質問をしたり、相談するのが本来の目的でしょうか。

私の場合は、担当の教授が良い意味で適当であったので、楽しくおしゃべりをして、履修表に印をもらうということをしていました。アドバイザーによっては厳しい人がいて、単位を落としたことについて何かを言ったり、履修するコマ数が多い場合に少なくするように言ったり、一般教養科目であり、履修が推奨されている「物理学実験」を取るようにさせたりするみたいです。

私は「物理学実験」は履修していません。負担が多いと聞いていたのと、2回生以降で実験は専門科目でちゃんとやるから、あとは取りたいゼミとクラス指定のコマが被っていたなどの理由があります。「物理学実験」を取るべきか取らないべきかは色々な意見を聞くので、言及は避けておきます。

サマーキャンプ

電電のユニークな課外活動の一つにエレクトロニクスサマーキャンプがあります。1〜3回生が対象となりロボットや電子機器の設計、製作や、ラジコン飛行船の自動制御などの電電らしいテーマにチャレンジします。4回生や大学院生がティーチングアシスンタント(TA)としてサポートをしながら行われます。

私はこのサマーキャンプの存在を知った入学前からやりたいと思っていました。結局は1回生の時にしか参加することはなかったのですが、夏休みに電電らしいテーマのものづくりを行うのは楽しかったです。

2回生

一般教養科目

一般教養科目と言っても、2回生になると人社系や語学系は少なくなり、数学や物理系の科目ばかりになります。内容も難しくなってくるため、試験期間は大変でした。

試験は前々からちゃんと勉強するに越したことはないですが、もし勉強しても難しすぎて、単位が取れそうになくても、試験を受けないことはしない方がいいです。

私が受けた「確率論基礎」は非常に難しく、測度論のようなことまで扱っていて、勉強したものの単位が取れる気がしない状態で試験に臨みました。しかし、後日返却の時に傾斜配点について説明があり、試験の点数xに対して

\begin{equation} f(x) = \begin{cases} \frac{60}{16} x & (0 \leq x < 16) \\ \frac{65 – 60}{24 – 16} (x – 16) + 60 & (16 \leq x < 24) \\ \frac{100 – 65}{72 – 24} (x – 24) + 65 & (24 \leq x < 72) \\ 100 & (72 \leq x ) \end{cases} \end{equation}

が成績表の点数となるということでした。

つまり、60点以上で単位取得となるので、試験で16点を取ることができれば良かったのです。

このようなこともあるので、諦めて試験を受けないのはもったいないです。

もちろん一番良いのはちゃんと勉強をして、試験に臨むことです。

専門科目

専門科目は1回生の頃と比較して多くなります。

前期は「物性・デバイス基礎論」、「電子回路」、「論理回路」、後期は、「計算機工学」、「情報理論」、「半導体工学」、「電気電子数学1」、「電磁気学1」、「電気電子計測」を取りました。基本的にほとんどの電電生がこれらの科目を取ると思います。

1回生と同じですが、専門科目は研究室配属のためにもちゃんと勉強して点数を取っておくといいでしょう。

また、金曜日にある専門科目は、落としてしまうと3回生の実験が金曜日にあるため、3回生で取り直すことができません。出来るだけ落とさないようにしましょう。

演習、実験

前期は「電気電子プログラミング及演習」、「電気電子回路演習」がありました。どちらも2コマずつです。「電気電子プログラミング及演習」はプログラミングの演習で、C言語を使って簡単な迷路探索プログラムを作ります。プログラミングの基本的な部分から自分でやっていき、終わった人から帰ると言う形で、分からない人はTAに聞いたりして進めていきます。「電気電子回路演習」は必修で、簡単な実験を行います。レポートも出たりしますが、そこまで大変だった思い出はありません。

 

後期は必修の「電気電子工学基礎実験」が木曜日にあります。1限から昼休みを挟んで4限までありますが、実際には実験が終わるまでという形です。4限終了時刻よりも早く終われば早く帰れるし、4限までに終わらなくても、終わるまでやる感じです。基本的に4人班で協力しながら実験を進めていくので、班員が重要です。班によって終わる時間が大きく変わってきます。

レポートもちゃんと書く必要があるため、レポート提出の週は大変でした。レポートは手書きでもwordでも大丈夫ですが、私は練習としてLaTeXを使って書いていました。

卒業論文は基本的にLaTeXを使うため、早めに練習したい人は普段の実験レポートからLaTeXを使うと良いでしょう。数式が打ちやすいのはメリットです。 環境構築がめんどくさいひとはOverleafなどのオンラインLaTeXエディタを使っってみてはどうでしょうか。

まとめ

ここでは京都大学工学部電気電子工学科の生活の前半である1、2回生について書いていきました。

現在4回生になって1、2回生を振り返ると、この頃はサークル活動に尽力していてたため、実験のレポートの提出直前や、試験期間は忙しかったです。

実験は大変なイメージが入学当時は色々言われたせいでありましたが、実際は同じ班の人と話しながら行う実験は講義よりも楽しかったです。班に恵まれた気がします。レポートも提出前夜に書き始めるとかしなければ問題なく終わります。

今1、2回生の人に言いたいことは、専門科目が簡単なうちにちゃんと成績を取って、研究室配属の希望が通りやすいようにしておくことです。せっかく研究を始める時にやりたい研究ができない後悔はしないように頑張ってください。

 

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