天才ブライアンメイの学術的な顔 〜Bohemian Rhapsodyを見て〜

日常

話題の映画『Bohemian Rhapsody』(ボヘミアンラプソディー)を見ました。今回は映画の感想と、Queenのギタリストのブライアンメイの凄さについて書いていこうと思います。

スポンサーリンク

Bohemian Rhapsodyの感想

私は親の影響でQueenの曲は子供の頃から聞いていました。車で出掛けるときとかによく聞いていたのを覚えています。キャッチーな曲調で、テレビなどでも聞くことが多かったと思います。

しかし、Queenのブームの時代に生きていない私にとってQueenの曲は分かりますが、バンドについてはほとんど知りませんでした。ギターを一時期やっていたこともあり、ギタリストのブライアンメイについては知っていましたが、それ以外に知っていることはフレディーマーキュリーが同性愛者であり、エイズで亡くなったということくらいです。

映画を見る前はこんな感じの状態でしたが、前評判がとてもよく、音楽が好きな私は『Bohemian Rhapsody』を見ることにしました。

 

映画ではフレディーマーキュリーの孤独、葛藤について描かれています。フレディーマーキュリーはザンジバルで生まれ、幼少期をインドで過ごします。その後ザンジバルに戻ったのちザンジバル革命によりイギリスに逃れました。

人種的にもマイノリティーであったフレディーマーキュリー。音楽を始める上で厳格なゾロアスター教徒である父親との確執もありました。

そんな彼はQueenというバンドをはじめ、新しい音楽を作り出し、バンドとして大成功していきます。

バンドとして成功する中、自らの性的指向によって愛する女性との恋愛関係が終わります。彼にとってこの女性は最も信頼できる友人になりました。

しかし、バンドの大成功の裏で彼からこの女性が離れていき、さらに周りの人間にも裏切られ、バンドの仲も壊れていきます。人気の影で、彼はどんどん孤独になっていきます。

そんなとき、ライブエイド(live aid)のオファーがきます。バンドとして壊滅している時に、信頼する女性の助けもありフレディーマーキュリーは改心してQueenは復活し、ライブエイド出演を決めます。

 

最後のライブエイドのシーンは感動的です。Youtubeでも見ることのできる実際の映像と比べても非常によく再現されていましてた。細かい動きまでよく真似ていました。

このライブシーンまでに彼は愛する女性や家族との仲も改善し、恋人もできます。フレディーマーキュリーのこれまでの葛藤、孤独と対照的なライブシーンでのフレディーマーキュリーの姿が印象的です。感動で泣けました。

この映画を見る私たちはある意味で神の目線でこの映画を見ています。フレディーマーキュリーの葛藤だけでなく、彼がどのような最後を迎えるのかも分かっています。病気を隠してライブに出演する姿はこれまでの弱い姿が嘘のようです。

もちろん映画であり、実際と異なる部分はあるかもしれません。しかし、映画という芸術に昇華されたQueenという伝説的なバンドの姿はとても魅力的で惹き込まれました。

きっとこの映画を見る私はQueen全盛期をライブタイムで見ることのできた人とは異なる見え方だと思います。懐かしさではなく、新鮮さを覚えたこの映画。Queenの魅力にファンになりました。

Queenを知っている人にもあまり知らない人にもオススメできる映画です。

ブライアンメイの凄さ

ブライアンメイ

映画内では大きく取り上げられていなかったギタリストのブライアンメイは私の好きなギタリストの一人でもあります。ギターの腕前だけでなく、学術的な面でも尊敬をしています。

ギタリストとしての凄さ

ブライアンメイのギターは特徴的です。彼の使うギターは自身が父親と一緒に手作りをしたオールカスタムギターです。ギターと独自の機材から奏でられる独特の音色と映画でもあるような多重録音による凝ったギターの音はまるでシンセサイザーで作られたと間違われたため、初期のQueenのレコードパッケージには “No Synthesisers were used on this Album(このアルバムでシンセサイザーは使われていない)” と書かれていたそうです。

また、彼はギターを弾くのに使うピックとして、6ペンスコインなどの硬貨を使っていました。このようなコインで弾くことで彼はより一層独特の音色を奏でています。

6ペンスコイン
6ペンスコイン

唯一無二の独自の音を作り出す姿はとてもかっこよく思います。

また、作詞作曲の能力もあります。Queenの中でも有名な”We will rock you”もブライアンメイが作詞作曲です。凄い……

学術的な凄さ

宇宙

ブライアンメイは映画内でも言われていますが、宇宙工学を学ぶ学生でした。また、彼は還暦になってから天体物理学の博士号を取得しています。

Wikipediaにはこのように書かれています。

インペリアル・カレッジ・ロンドンで学び、大学院では宇宙工学を研究しており、クイーンの活動が軌道に乗るまでは中学校の講師として教鞭を執っていた。その後、音楽活動のために研究を中断していたが、35年後の2007年から天体物理学の研究を再開し、スペイン領カナリア諸島天文台で研究を行って論文を完成させ、母校インペリアル・カレッジでの審査を通過して博士号を授与されている[2][3][4]

Wikipedia

24歳のブライアンメイはインペリアルカレッジで天体物理学の博士号取得を目指していました。彼は惑星間物質の研究で2本の論文に名を連ねていて、1つは科学雑誌「Nature」に掲載されていました。しかし、ギタリストとしてQueenの立ち上げに加わり、アルバムが大ヒットしたことで、天文学から離れることとなってしまいました。

その後彼は約36年ぶりに博士論文に打ち込みます。自身のウェブサイトbrianmay.comに掲載されたところによれば、BBCテレビの電話インタビューに「名誉学位ではなく、かつて目指していた本物の学位が欲しかったんです。ほかのものすべてを投げ打って、本当に集中しなければなりませんでしたが、そこから生まれる喜びもありました」と話しています。

彼は、スペイン領カナリー諸島のラ・パルマにあるカナリア天文物理研究所で論文「黄道塵(こうどうじん)の中の視線速度(Radial Velocities in the Zodiacal Dust Cloud)」に取り組みました。黄道塵は太陽系の黄道面に分布する、彗星や小惑星を起源とする微粒子であり、太陽光を散乱したときの輝きは空が暗ければ地上からも観測できます。

その後彼はインペリアルカレッジで論文を発表し、審査を経て博士号を授与されました。

インペリアルカレッジロンドンとは英国を代表する有名な理系の大学で、ノーベル賞受賞者も輩出しています。そこで博士号まで取得しているとは本当にすごいです。

このような多才さは憧れます。Queenで成功を収めてなお学術の世界でも結果を出し、最高学位を取得するとは、尊敬でいっぱいです。

参考:AstroArts